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どんな事業者に登録が求められるのか

管理を任せる相手を選ぶとき、多くの人がまず見るのは、手数料の率と、担当者の感じの良さです。どちらも大事ですが、その前に一つだけ、誰でも同じ基準で確かめられることがあります。賃貸住宅管理業者としての登録です。

根拠は、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律です。同法は、賃貸住宅管理業を営もうとする者は国土交通大臣の登録を受けなければならないとし、登録は五年ごとに更新を受けなければ効力を失うと定めています。そのうえで、登録を要しない規模を国土交通省令に委ねており、施行規則第3条は、法第3条第1項の国土交通省令で定める規模を、賃貸住宅管理業に係る賃貸住宅の戸数が二百戸であることとする、と定めています。

この法律は令和二年六月十九日に公布され、サブリース事業に関する規制は令和二年十二月十五日から、賃貸住宅管理業の登録制度は令和三年六月十五日から施行されました。比較的新しい制度ですから、以前から付き合いのある会社ほど、登録の話題が一度も出ていないということが起こりえます。

この二百戸という線については、国土交通省のよくある質問が実務上の扱いまで説明しています。管理戸数が一時的にでも二百戸を超えた場合、その時点で登録を受けていなければ賃貸住宅管理業を営むことはできない、という趣旨です。つまり、平常時の戸数で足りているかどうかではなく、超えた瞬間に登録が要る、という厳しめの建てつけになっています。

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二百戸未満の会社は、信用できないということではない

ここで早合点しないでいただきたいのが、登録がない会社イコール問題のある会社、ではないという点です。二百戸に届かない規模の会社は、そもそも登録が義務づけられていません。地域に根ざして数十戸を丁寧に見ている会社は、むしろ珍しくありません。

そのうえで、国土交通省は二百戸未満の事業者についても、登録を受けることにより社会的信用力が高まると考えられることから、登録を受けることを推奨しています。そして重要なのはその先で、任意に登録した場合、他の登録業者と同様に法第2章の規制に服することとなり、違反した場合は監督処分や罰則の対象になる、と説明されています。

つまり任意登録は、看板を掲げるだけの話ではありません。義務がないのに自ら規制の下に入るという選択です。二百戸未満の会社を検討しているとき、任意登録をしているかどうかは、その会社が自分たちの業務をどう位置づけているかを映す、分かりやすい手がかりになります。登録がないことを減点とするのではなく、登録があることを加点として見る、という読み方が実態に合っています。

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金銭管理だけを頼む場合は、この法律の外にある

もう一つ、混同されやすい区別があります。家賃の集金や送金だけを頼んでいる場合です。国土交通省のよくある質問は、家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務のみを実施する事業は、本法の賃貸住宅管理業に該当しない、と明確に述べています。

同法が想定している管理業務は、建物の維持保全と金銭の管理を組み合わせたものです。建物の点検や修繕の手配といった維持保全が伴わず、お金の出し入れだけを代行しているのであれば、それは登録制度の対象外ということになります。

この区別が効いてくるのは、見積書や提案書を読むときです。「管理をお任せください」と書かれていても、その中身が集金代行だけなのか、建物の維持保全まで含むのかで、法律上の位置づけも、こちらが期待できることもまったく違います。ですから、登録の有無を尋ねる前に、まず委託しようとしている業務の中身に維持保全が含まれているかを確かめてください。含まれていないのに登録の話だけを詰めても、かみ合いません。

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業務管理者という、現場の責任者

登録制度のもう一つの柱が、業務管理者です。同法は、営業所又は事務所ごとに一人以上の業務管理者を選任することを求め、業務管理者は他の営業所の業務管理者となることができないと定めています。国土交通省の制度解説も、営業所又は事務所ごとに、知識・経験等を有する業務管理者を一名以上配置すると説明しています。

誰が業務管理者になれるかも決まっています。国土交通省は要件を、管理業務に関する二年以上の実務経験に加えて登録試験に合格した者、または管理業務に関する二年以上の実務経験に加えて宅地建物取引士であり指定講習を修了した者、と整理しています。登録試験というのは、国土交通大臣の登録を受けた機関が実施し、知識・能力を証明するものです。なお制度の立ち上がりにあたっては、令和二年度までに賃貸不動産経営管理士試験に合格して令和四年六月十五日までに登録を受け、移行講習を修了した者を、実務経験と登録試験合格を満たす者とみなす経過措置が設けられていました。二つの経路があるということだけ頭に入れておけば、相手の説明が要件に沿っているかを聞き分けられます。

兼任ができないという点が、この制度の芯です。本社に一人置いて全国を見る、という形は認められていません。自分の物件を担当する営業所に、その営業所のための責任者がいる、という状態が想定されています。

ですから、委託を検討している会社に対しては、会社全体の話ではなく、実際に自分の物件を担当する営業所の話として尋ねてみてください。どの営業所が担当になるのか、その営業所の業務管理者は誰か。この問いに淀みなく答えられるかどうかは、体制が書面の上だけのものか、実際に回っているものかを測る、素直な手がかりになります。

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登録業者に課されている義務を、期待値の目安にする

登録を受けた業者には、いくつもの義務が課されています。国土交通省のポータルサイトは、管理受託契約の締結前に、報酬及び具体的な管理業務の内容・実施方法等について書面を交付して説明しなければならないこと、契約を締結したときは相手方に対し遅滞なく必要な事項を記載した書面を交付しなければならないことを挙げています。

さらに、事業者自己の固有の財産と入居者等から受領する金銭を分別する必要があること、少なくとも年一回以上の頻度で物件のオーナーに対し報告が必要となること、営業所又は事務所ごとに公衆の見やすい場所に標識を掲げる必要があることが示されています。ほかに、再委託の禁止、秘密保持義務、名義貸しの禁止も課されています。

この「再委託の禁止」は、禁じられている範囲を取り違えないでください。賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第15条は「賃貸住宅管理業者は、委託者から委託を受けた管理業務の全部を他の者に対し、再委託してはならない。」と定めています。禁じられているのは全部の再委託、つまり一括してまるごと他社へ投げてしまうことです。清掃や設備の点検といった個々の業務を専門の業者に頼むといった部分的な再委託まで禁じられているわけではありません。ですから確かめたいのは「外注しているかどうか」ではなく、どの業務を誰が担うのか、そして窓口として責任を負うのは委託先である管理業者自身か、という点になります。

この一覧は、委託先を比べるときの物差しとしても使えます。契約前に書面で説明があるか。お金は分けて管理されているか。報告は年何回、どんな形式で届くのか。年一回以上というのは下限ですから、実際にどの頻度でどこまで報告してくれるのかは、会社によって差が出るところです。義務の一覧を「守っているか」の確認ではなく、「どこまで上回っているか」を尋ねる材料として使うと、比較がしやすくなります。

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登録簿で自分の手で確かめ、困ったときは申し出る

登録の有無は、相手の言葉を信じるしかないものではありません。国土交通省は、賃貸住宅管理業者に関する企業情報は「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」から閲覧できると案内しており、同システムの中に「賃貸住宅管理業者 検索」の画面が用意されています。宅地建物取引業者やマンション管理業者と同じ入口にまとまっているので、同じ会社が他にどの業の登録や免許を受けているかも、あわせて見ておけます。

検索でうまく当たらないときは、通称や屋号ではなく登記上の正式な商号で試すのが先決です。会社案内やチラシで使われている呼び名と、登録簿に載っている商号がずれていることは珍しくありません。見つからないことをすぐ不備と決めつけず、まず正式名称を確かめ、そのうえで相手に登録番号を尋ねるという順序にしてください。登録番号を即答できるかどうか自体も、ひとつの手がかりになります。

そして、実際に問題が起きたときの窓口も用意されています。国土交通省の申出制度は、被害を受けた本人に限らず、個人・法人を問わず誰でも申し出を行うことができるとしており、誇大広告等の禁止、不当な勧誘等の禁止、契約締結前の重要事項説明義務などに違反した事業者についての情報提供を受け付けています。所定の申出書に、申出人の氏名・住所、事業者の名称・所在地、法律違反の具体的な内容等を記載して提出する仕組みです。委託先を選ぶ段階でこの存在を知っておくと、万一のときに一人で抱え込まずに済みます。

相談の前に確かめるチェックリスト

  • 委託しようとしている業務に、建物の維持保全が含まれているかを確かめる
  • 国土交通省の賃貸住宅管理業者検索で、正式な商号や所在地から登録を照会する
  • 二百戸未満の会社なら、任意登録をしているかどうかを尋ねる
  • 自分の物件を担当する営業所と、その営業所の業務管理者を確認する
  • 契約前の書面による説明、分別管理、年一回以上の報告の実施方法を聞く
  • 報告の頻度と様式が、年一回という下限をどこまで上回るかを比べる
制度の一般的な考え方をまとめたものです。実際の取扱いは契約の内容や個別の事情によって変わります。判断が必要な場面では、不動産会社や専門家、行政の相談窓口にご確認ください。